2020年12月26日発売日の週刊ヤングジャンプ2020年4-5号「キングダム」第627話を読んだのであらすじ・ネタバレ・感想をまとめました。
本記事はキングダム【最新話】627話のネタバレと感想をまとめた記事になります!
※ネタバレ注意です
【 キングダム 627話 あらすじ・ネタバレ 】
長かった朱海平原の戦い。
長かった求道者・龐煖の戦い。
我々読者と龐煖に奪われた時間は戻らない…
さぁ、クライマックスです。
【 朱海平原・十五日目夕刻 】
その刻、夕日は数多の血を吸い赤く染まる大地をより一層、朱く照らし出しました。
そして天のあまりの赤色に、各所で戦う兵士は一瞬なぜか動きが止まり、寒気を感じたといいます。
【 趙軍・李牧陣右前方 】
信と龐煖が死闘を演じている場所に河了貂と那貴が到着。
河了貂はイヤな胸騒ぎを覚え、後方から駆け付けたのです。
「 信っ… 」
飛信隊と李牧本陣守備隊の兵士らが囲む中、信と龐煖は互角の打ち合いを繰り広げていました。
尾平や岳雷、淵たちが各々声を上げて信を鼓舞します。
「 いけ信! 」
「 もうここで龐煖を! 」
「 信っ 」
「 隊長! 」
龐煖の一撃が信の一撃を凌駕し、信は何十回と膝から崩れ落ちていました。
その度に聞こえてくる漂や王騎、麃公の鼓舞する声…
「 大丈夫…聞こえてるぜ漂…分かってる…お前たちだけじゃない… 」
そして信を支える仲間たちの声…
「 俺には生きてる仲間が大勢いる、大勢いるんだよ!龐煖! 」
どこにそんな力が残っているのか…信は立ち上がり、龐煖に真っ向からぶつかります。
限界をとうに超えて戦う信の姿に、河了貂も羌櫂も涙が止まりません。
ドッ
ゴッ
信を地面に叩き伏せ、その上から潰すかの如く矛を振り下ろす龐煖。
信はそれでも立ち上がります。
仲間のため、大将軍になると誓った友のために!
『 なぜだ…なぜお前は、お前”たち”は我が刃に抗える… 』
『 道を究めし我が刃に…なぜ 』
何度も何度も立ち上がる信たちを見て、心の奥底に封じ込ませてきた感情が龐煖を襲います。
『 道が…間違っていたとでも言うのか… 』
『 そもそも道など…人にそんな道など無かったのでは 』
信はこの時、龐煖に迷いが生じているのを感じ取ります。
その龐煖の微妙な揺らぎは、周りを取り囲む趙兵や飛信隊にも伝わっていました。
趙兵らは万が一龐煖が敗れそうな時は手負いの信を討つ覚悟を決めており、飛信隊もまたそんな趙兵の動きを敏感に感じ取っていたのです。
封じ込めていた疑念が信たちによって呼び起こされ、龐煖は自身があると信じていた”人を救済する道”が無いことを悟り始めていました…
龐煖はその疑念をを振り払うかの如く、力任せに矛を振り下ろします。
『 道が無いなど、断じてない!! 』
龐煖が人らしい感情の揺らぎを見せたこの瞬間を信は見逃しません。
「 龐煖! 」
バキ!
信の振り下ろした刃が龐煖の刃を叩き折ります。
河了貂や尾平たち飛信隊はその光景に言葉が出ません。
本陣から見ていた李牧やカイネもそれは同じ…
しかし、周りの趙兵たちは万が一に備え臨戦態勢に入ります。
折られた箇所は鋭利になっており、叩き切ることは出来ないまでも、突けば十分に人を殺めることが可能な折れ方です。
龐煖はクルリと背を向け、己が身にまとうマントをひるがえします。
広がるマントのせいで龐煖の姿を見失う信。
しかし、背を向けた今こそ絶好の機会。
飛び込む信!
その時!
趙兵たちは信の背中に向けて一斉に槍を投げる構えに!
これに河了貂が反応、隊に指示を送りますが間に合いそうもありません。
ドッ
ドッ
趙兵の動きを察していた淵や楚水らは槍を投げ入れようとしていた趙兵を食い止めます。
「 させるかバカヤロォ! 」
龐煖はマントで矛を隠し、信の視覚外から強烈な一突き!
見てもいないのに切っ先は信の胸にドンピシャ!
ブオッ
これを間一髪かわす信!
「 龐煖!! 」
信の咆哮とともに背を向けている龐煖に矛が振り下ろされます。
今度は信の刃が龐煖の肩口から首にかけてドンピシャ!
龐煖にかわす選択はなく、瞬時に振り向き、これを矛で防ぐのみ。
かつて王騎がしたように、信はそのまま矛を龐煖に押し込むのでした。
ググ・・グ・・
信が矛で防ぐ龐煖を凌駕し、ついにその刃が龐煖の身体に届きます。
身体に食い込んでくる刃を感じながら、龐煖は敗北を悟ります…
そして信が自分に放った言葉と同じ言葉を怒鳴るのです。
「 お前はっ お前”たち”はッ 」
ルオオオオオオ!!
龐煖の言葉を遮るような信の咆哮!
矛ごと龐煖を一刀両断に討ち取ります。
キングダム【第627話】END
キングダム第627話感想・第628話考察
信と龐煖の一騎打ちが始まって六週間。
正直、長かったです。
終わってみれば何てことのない、カタルシスを感じない一騎打ちだったと個人的に思いました。
たとえ岳嬰や徐兄弟のようなザコキャラであれ、誰かを思う背景が一騎打ちにあり、それが悲劇であるから見ているコチラも感情が多少なりとも動かされるのです。
それが龐煖の場合、見方によっては悲劇ではあるものの、あまりにも夢想的すぎました。
もし、この龐煖の設定が最初から求道者だったとして、なぜここまで隠す必要があったのでしょうか。
龐煖なりに考え苦悩する理由を、もっと以前から作中で語られていれば、少なくとも今回のようなシラケた一騎打ちにはならなかったと考えます。
盛大に龐煖を葬ったのかもしれませんが、岳嬰や徐兄弟の葬られっぷりの方がよっぽど印象に残ります。
【 結論・龐煖は悪くない 】
この一騎打ちで最も腹が立つのが、人を超越した存在、力などないと李牧に語らせ、また龐煖にも最後悟らせておきながら、途中までそんな存在や力があるのかもと思わせた演出です。
左目から流れ出る謎の涙。
動けなくなる馬と兵士たち。
これらは結局、戦場で盛大に一騎打ちをしてもらうための整合性を補完するものでした。
なのにその演出を、「人を超越した存在だからかもよ?」と読者に思わせようとしたことがガッカリなのです。
で、龐煖が「道など無いのか」と疑念が生じた途端に魔法が解けたかのように周りの兵士たちは動けるようになりました。
あのまま龐煖が疑念など生じなかったから「人を超越した何者か」になれたと作者は言いたいのでしょうか。
おそらくは李牧もそんなことを宣うかもしれませんね。
このどっちつかずの演出こそが矛盾ですよ。
あまりにも龐煖が可哀想になって、作者は自分が悪者になることを選んだのでしょうかね。
今さら何を…です。
【 一騎打ちの是非 】
戦場や将としての位が大きくなるにつれ、戦場での将同士による一騎打ちは整合性が取れなくなるのは当たり前。
でも読者も阿呆じゃないんだから理解してます。
一騎打ちあってこそのキングダムだと。
しかし、こうも信ばかりに手柄を与えるのは如何なものでしょうか。
岳嬰や徐兄弟、趙峩龍くらいは飛信隊の誰かに与えてよかったんじゃないでしょうか。
仲間の誰かが信の右腕や背中を守るくらいの存在にならないと隊としての厚みを感じられません。
なにより、隊の魅力が感じられなくなりつつあります。
ヒーローはひとりだけって物語に違和感を感じるのはじぶんだけでしょうか…
亜花錦のような人物こそ飛信隊に今最も必要なんだと思います。
ですから、信の一騎打ちはここぞって相手だけに絞り、新人なり転入兵なりに一騎打ちを与えるキングダムであって欲しいです。
【 李牧の撤退 】
律義にも龐煖の行く末を見届けるために残っていた李牧。
その間、王翦軍に対しての指示など全くありませんでした。
龐煖さえ信に勝てば形勢は趙にあると思っていたからなのでしょうが、これではあまりにお粗末と言わざるを得ません。
個の力を否定してい入るくせに、自軍の命運を個の力に頼る三大天・李牧様って何なのでしょう。
丁度、陽も沈み始めましたし、カイネや側近たちに説得される形で撤退命令を下すのでしょうね…
李牧が逃げ切るまでの間、馬呈や傅抵、馬南慈たちも大変だな。
兵糧の無い秦軍が追って来れないとわかっていますから、李牧は結構 余裕顔で撤退しそうでイヤだなぁ…